雑談録

回顧雑談の記録です。コメントはお気軽にどうぞ。

2020年上半期振り返り

前の投稿から約9ヶ月が経ってるじゃないか!

 

今年の1月にインテリアの本を出したのですが、

前回、前々回の投稿はその取材日記を書いていこう。

そう思って書き始めたのに、始まってみるとそんな余裕はまったくなく、

あれよあれよという間に

入稿、校了、発売、次の本、9冊、無理、コロナ、校了、発売、

次の本、リモート、校了、発売、梅雨?、春どこ行った?、次の本、

あれ?夏?嘘でしょ?、重版、嬉しい、感染者爆増、出張延期、

みたいな感じで今に至るわけです。

 

そうです、前回のブログで取材してた本が発売&重版しました!

取材させてくれた皆さん、買ってくれた皆さん、ありがとうございます!

昭和インテリアスタイル

 

発売した後、世界中でめきめきと新型コロナウィルスが蔓延していき、

そんな中で、縁あって魚喃キリコ作品の既刊本新装版と未収録作品集を作ってました。

 

世代的にもどんぴしゃだし、高校・大学の頃からずっと大好きで

もちろん全作品持っていたので、作っている間はずっと

いろんな意味で「こんなことってあるのか・・・・」と思う日々。

私は魚喃キリコ作品のリアルなストーリーとか心情の切り取り方よりも、

絵にびっくりしてハマったので、生原画を見てめちゃくちゃ震えたのでした。

 

私の魚喃作品との出会いは1998年の冬、忘れもしない中3の冬、たぶん1月。

キューティーの増刊号として発売した「キューティーコミック」なる漫画雑誌でした。

 

当時キューティーで連載していた、安野モヨコ

「ジェリーインザメリーゴーラウンド」のような

おしゃれファッション漫画が盛りだくさんに違いない!と勇み足で

同級生の親が経営する地元の本屋へ買いに行って、中身を見て呆然。

 

安野モヨコのイラストが表紙を飾るおしゃれそうな漫画雑誌には、

おしゃれファッション漫画よりも、おしゃれな裸の女や性描写を含む

大人な恋愛漫画が盛りだくさんだったのです。

 

今ならそういう漫画に動じることはありませんが、

小さな漁村の頭固めな公務員家庭で育った思春期真っ只中の私にとっては一大事。

 

まず、店のおばちゃんがキューティーコミックの中身を把握しているとしたら

「西村さんとこのエリちゃん、嬉しそうに女の裸の漫画を買いよったで!ませちょうわ」

という噂を流されます。おばちゃんには悪いけど確実に流す。息するように流す。

すると音速で噂は広まり、私は変態中学生というレッテルが貼られ、内申点はマイナス、

受験の面接時「女の裸の漫画を読んでいたね?」と聞かれて恥をかいたうえに不合格、

親にも噂が届き(おばちゃんが直接親に伝える最悪のパターンもありうる)、

現物を見つけられ、ボッシュートされるだけじゃなく、ついでに他の漫画も捨てられる、、、、

 

一瞬にして最悪な近未来予想図が浮かび、この町で静かに楽しく暮らすためには

キューティーコミックを捨てるほかなかったのですが、

その中に掲載されていた魚喃キリコの「南瓜とマヨネーズ」の絵が

他の漫画とは一線を画す美しさで、こんな漫画があるのか!とショックを受け、

受験に失敗した変態中学生になるかもしれない可能性と引き換えに、

こっそり隠し持ち、何度も「南瓜とマヨネーズ」を眺めて

キューティーコミックvol.2の発売を心待ちにしたのでした。

大人すぎて結局買えず、変態中学生でもなんでもない

幼馴染の家で読ませてもらったけど…。

(vol.2に掲載されていた魚喃キリコ作品は「水槽」という

中学卒業したての小娘にはヌーベルバーグすぎる話だったけど、

絵がとにかくきれいで幼馴染の家へ行くたびに見せてもらった。ありがとう)

 

つい我が限界集落の村社会の恐ろしさに話が脱線したけど、

約20年の時を経て、相当なリスクを背負ってでも

手元に置いておきたかった漫画の復刊に携われたことは、

今でも現実味がないくらいの大きな出来事なのです。

 

冊数が多すぎるのでリンクは未収録作品集だけにしときます。

 

 

魚喃キリコ 未収録作品集 上

魚喃キリコ 未収録作品集 下