中銀カプセルタワービル見学会
旅色というサイトで高度経済成長期に建てられたいいビルを4件紹介してます。
https://plus.tabiiro.jp/articles/view/35673
どれも今更私が取り上げるまでもない有名なビルばかりですが、散歩しやすい徒歩圏内で再開発が始まる前に見ておこう!というテーマだったのでこの4ビルに。
周辺には無名だけどすてきなビルがたくさんあるので、移動しながら色々見られて楽しいと思います。
ネットなどでまことしやかに囁かれている取り壊しの日程に誤解があったり知らぬ間に決まっていたりと、取材・校正の際に直接教えてもらえたのでそこはよかったかな。
あと、やり取りをきっかけに、いつか行きたいと思っていた中銀カプセルタワービルの見学会にも参加してきました。
中銀カプセルタワービルについては、旅色の記事などを読んでもらうとして、見学会の満足度がそれはそれは高かったのでブログに記録しとこうと思います。
私が中銀カプセルタワービルを知ったきっかけはコモエスタ八重樫さんの『MOD EAST』というすばらしい本。この本に掲載されている物件のチョイスに加え伊藤慎一さんの写真があまりにも最高なので、持っていない人は何としてでも入手したほうがいいと思います。絶版だけど探せばあるはず。復刊すればいいのに!
当時新宿の大学に通っていた田舎から上京してきた小娘が、銀座8丁目なんてまず行かないエリアだったので、偶然見て「あれは何?」と思った、とかそういう出会いではなかった。本当はそういう出会い方をしたかった。行こうと思えば行ける距離に住んでいたのに、本の写真がかっこよくて満足してしまったのです。ばか!
実際に生で見て感動した、というのはいつだったか覚えていないけど、確か仕事で移動中、首都高を走っている時だったと思います。
ツアーは1時間くらいで見学料3000円。
カプセルをいくつか所有するガイドさんに案内されながら大体5〜6人くらいで回ります。
1階共用部の集合ポスト。かわいい。
ちなみにこのビルは、ツインタワーにカプセルをらせん状に差し込んでいて、140部屋もあるそう。
A棟側から見たB棟のエレベーター。
B棟から見たA等のエレベーター。
できて間もなく一部改装されたそうですが、木製の壁は竣工当時からのもの。
構造がよくわかる間取り図も見せてくれました。
取り付け位置によっては横長の部屋と縦長の部屋があるようです。
東日本大震災ではそれほど影響がなかったそう。
揺れが一瞬の地震よりも、長時間揺さぶられる台風なんかの方が影響があるようです。なるほど。
まずはA棟よりB棟のほうが少し背が低く、2棟をつなぐB棟の最上階のバルコニーへ。
カプセルの隙間から下が見えてこわい。
カプセルとタワーを繋いでるのはわずか4カ所。引っ掛けて、ボルトで止める形なので、密に連結しているとはいえ部屋自体は宙に浮いているのです。ひー。
浮いてるのがわかる写真。わかる?わかって。
目隠しのデザインも洒落てる。
赤いとんがりは格子状だとわかりました。
数年前に給湯設備が壊れ、現在お湯が使えないそうです。
住人はみんな近所のジムでお風呂に入ってきたり、銭湯へ行ったり、中には水を溜めておいて非常用の湯沸かし器?を使ってお湯を沸かしてお風呂に入ったり…大変そう。そうまでしてもここに住みたいという情熱がないとできないこと。すごい!
ちなみに断熱材が入っていないので、夏は暑く冬はかなり寒いそうです。
そうまでしてもここに住みたい!愛が半端ない!
中に入って階段をぐるぐる下りながら公開されている部屋へ。
各部屋のドアの上に丸いあしらい。
廊下の照明も丸。長い蛍光灯は後付けらしい。
ガスメーターの扉(だったかな?)の窓もいちいち丸くてかわいい。
以前は壁はピンクで扉がオレンジというキャッチーなカラーリングで、そのファンキーな配色を引き締めるかのように現在赤い床は黒だったそうです。
ちなみにB棟はブルー×グリーン。おしゃれ。
いよいよ中へ。縦長タイプの部屋。
色々とアレンジされて住んでいる人が多いそうですが、この部屋は竣工当時のまま。ブルーのカーペットに丸い窓がスペイシー!
第一印象は
狭い!
見学時のメンバーは5人だったので余計にそう感じたかも。
でもしばらくここで過ごしていると、だんだん慣れてきたのか、不自由さを感じるほど狭い感じがなくなっていきました。
とにかく引きがない。
海外ドラマや広告、雑誌など様々な媒体が撮影に使っているけど、スチールならともかくこの空間で一体どうやって映像作品を!? と不思議でなりません。
まあでも最近は機材もすごく小さくなってるらしいし工夫しがいがあるか。
私としては半分ロケハンのつもりだったので、色々撮り方を考えれてよかった。
内装は船のキャビンを参考に作られているので、コンパクトだけど収納は多め。キッチンはなし!潔い。
ちなみにドアは内側に開きます。
一部が収納デスクに。いい…。
備え付けのオーディオやテレビ、電話はオプションで色々とカスタムできたそう。
壁の色も白、黒、青(だったかな?うろ覚え)から選べて、ほとんどが白いへやだったけど、黒川紀章の部屋は黒にしていたんだとか。
それというのがわかるのも、当時のカタログがあるから。
いろんな人が持っているページを寄せ集めて復刻したそう。絶賛販売中です。
イラストもかわいい。
ユニットバスも全体的に丸みをおびててレトロフューチャーな感じ!最高。
中の様子。狭いけどトイレのタンクを横につけているのかその分圧迫感を軽減しています。
見ていくうちに浮かんでくる素朴な疑問なんかにも丁寧に答えてくれて、あっという間の1時間。
10月には建替えか保存か、結論が出るそうです。
ぜひ保存・カプセル取り替えの方向で! コストがかかるそうだけど、こんなすばらしい唯一無二の建物、もう二度と建てられないし。